箱の中から視た世界-6-
どうも。雲雀さんから如何にして逃げようかと悩んでいる猫です。
雲雀さんに恥ずかしくて死んでしまいそうだと言うと実行されそうになってます。
実際に人は恥ずかしくて死んでしまうなんてことないと思うのです。
てか絶対にありません!でも実行しようとする雲雀さんの顔は輝いてます。
そう、これ以上無いって程にイキイキとしていますよ!!!
本当に謝り倒しますからお願いだからやめてください!ね!?
「雲雀さっ・・・ほ・・・ホントに止めっ・・・」
「急にしおらしくなってどうしたの?」
「だって・・・えっと・・・怖い・・・です。」
「(そんなこと言うと余計にクルって分からないのかな?)」
あうあう・・・今日会ったばかりですよ雲雀さん。
その前に僕には経験がありません。怖いです。だってだって・・・
男の子同士でしょ?そんな使うところなんて流石の僕でも分かります。
だってお年頃なんだもん///って恥らっている場合ではない!!
雲雀さんが若かりし頃の過ちを犯してしまうまえに止めます!
僕全力で止めます!!!
て、決心した瞬間にベッドに投げ捨てられたっーーー!!!
うわん!雲雀さんが上で僕が下ぁー!嫌ー!いやらしい!!!
助けて!本当に死んでしまう!!んきゃーーーー!!
「雲雀さんっ!ホントに駄目ですぅー!!」
「・・・・・・」
「雲雀さ?」
僕が力一杯雲雀さんの胸板を押すと雲雀さんの動きが停止してしまいました。
ほ・・・良かった。どうやら思いとどまってくださったようです。
そうです雲雀さん。僕なんて食べても美味しくありませんよ???
雲雀さんは綺麗で格好いいんですから、僕なんかじゃなくてもいいです。
そう!可愛い女の子の方が雲雀さんにメロメロになって寄ってきます!
でも雲雀さんと女の子がイチャイチャしてたら僕切ないです・・・
え?切ない?何で!?どーうーしーてー!!うわん僕変です!!!
あれ?自問自答してる間も雲雀さんの動きが停止しています。
しかもよく見てみると雲雀さんのお顔は悩ましげですよ?
あれー?あれー?どうして?
というか雲雀さん・・・そろそろ上から退いて欲しいのですが?
「あの・・・雲雀さん?」
「ねぇ・・・」
「はい?何ですか?」
「僕君の名前知らない。」
「え?今更ですか?雲雀さん猫って言ったじゃないですか?」
「そんなことどうだっていいから教えなよ。」
うおーなんとお自由なお方なんでしょうか?
先刻君は僕の猫だよとか・・・ずっと猫呼ばわりしてたのに。
んーんー僕自分の名前なんて好きじゃないのに・・・
だって自分の名前に良い思い出なんて何もないもの。
殴ってる時に親や兄に呼ばれた名前なんて呼んで欲しくない。
雲雀さんが猫って言うのなら僕は本当に猫で良いのに。
「猫じゃ駄目なんですか?」
「そんなに名前が嫌いなの?」
「だって・・・僕の名前に良い思い出なんて一つもないです。」
「本当にそうなの?」
「へ?」
僕が伏せ目加減に話していた僕だけど、雲雀さんの一言で目を合わせた。
雲雀さんの目は真剣そのもので、一度捕らわれてしまうと離せなかった。
どうしてそんなに真剣な目で僕を見るの?どうして?雲雀さん?
「君の名前は君の両親が愛情を込めて付けたものじゃないの?
今は勿論君は両親のこと好きでは無いかも知れない。
でも本当にその名前に良い思い出が一つもないと思う??」
「・・・・・・」
そうだ。確かに今は暴力を振るわれていた。でも・・・
昔は家族4人で笑いあったじゃないか・・・あの名を呼ばれたじゃないか。
笑顔で、とてもとても大切な思い出があるじゃないか・・・
確かに嫌な思い出だって一杯詰まった名前だけど、僕のものだ。
僕の大切な大切な魂の一部・・・
「 」
「聞こえないよ。」
「・・・。」
「そう・・・・・・」
雲雀さんに名を呼ばれるとトクンと胸が鳴った。
なんだか温かくてでも切なくて、よく分からなくなって僕はまた泣いた。
多分嬉しかったんだと思う。あんなに優しく愛しむように名を呼んでくれたから。
久々に感じるその感覚があまりにも気持ちよすぎて僕の涙は止まらなかった。
少しはにかむと雲雀さんも微笑んでくれて今度は触れるキスをしてくれた。
今は恥ずかしくなんてないよ?ねぇ雲雀さん・・・ありがとう。
哀れな猫は飼い主に愛しみのその名を呼んでもらったのでした。