俺は無力で


何も出来ない事を思い知らされる


目の前に居る大切な友達も守れない


力が欲しい


助けて欲しい


誰か…助けて




















俺も㋮のつく異界人! -03-




















夢の中に出てくるアゴ割れマッチョに殴られた俺は、
立ち上がることも出来ずに地面と仲良く触れ合っていた。
痛い鳩尾を抱え必死に顔を上げた。
俺の目に映るのはアゴ割れマッチョがゆーちゃんの頭を鷲掴みにしている所だ。


喧嘩では負けたことなんて一度たりとも無いのに、
ずっと威張って来れたのに、こんな時に役に立たないなんて…
なんて見っとも無いんだろうか?友達すら守れないなんて…
俺は唯二人のやり取りを見ていることしか出来なかった。


悔しい…


「……いッ……」

「有利っ!!!!」


鷲掴みにされているゆーちゃんが何をされたのか分からないが、
顔を歪めている。何かに怯えている様なゆーちゃんの表情に、
アゴ割れマッチョは満足したのかその手を離した。
ゆーちゃんがその手から開放されると、
頭が痛いのか苦痛そうに頭を押さえている。
そんなに痛いことをされたのか!!!!


「お前!!有利に何をした!!」


やっと痛みの引いた鳩尾を押さえ、俺は立ち上がった。
アゴ割れマッチョは唯無表情で俺を見ている。否、睨んでいる。


「言葉を分かるようにしてやった。分かるだろ?」

「だからさっきから何を!!」

、俺大丈夫だから。やっぱ日本語っていいよな。
 でもちょっと外国人の口から流暢な日本語が出てくると違和感あるよなぁ?」

「…ゆーちゃん?さっきから此の人たち日本語喋ってたぜ?」


俺がそう言うとゆーちゃんは少し目を見開いた。何を驚く必要があるんだ?
驚きたいのは寧ろ俺の方なんですけど…つかさっきからなんか訳分かんない…


お前言葉通じてたの!?俺にはさっぱりだったんですけど…」

「ぇ…?」

って言うのか?お前はさっきから言葉が通じていたな。」

「なっ…何訳の分からない事を…
 ねぇ皆さん?さっきから皆さん日本語ですよね?」


同意を求める為に俺は周りに居た村人達に突然話をふった。
だが、アゴ割れマッチョが現れてから落ち着いていた村人が再び農具を構える。
え?ちょっと待ってよ…俺話し掛けただけじゃん!?何もしてないじゃん!?
俺の焦りを他所に村人達は口々に叫びだした。


「ヒィッ!魔族が!!話しかけるんじゃない!!」


は?魔族?誰が?


「もうだめだ、
 もうこの村も焼かれちまうんだ、二十年前のケンテナウみたいに。」


村を焼く?ケンテナウ?そんな地名あったっけ…?


「待ちなよ、けどまだこいつ等は若いし丸腰だし、
 しかも見てごらん髪も眼も黒い双黒だよ。
 双黒の者を手に入れれば不老不死の力を得るって、
 西の公国では懸賞金をかけてるらしいぞ。」


双黒?何それ?不老不死?ドラゴンボールか!?
しかも懸賞金て何!?えぇ!?


「気をつけろ、いくら丸腰だからってこいつ等は魔族だ魔術を使うはずだ。」


魔術…ははぁ〜ん?此処はRPGの世界だなぁ?魔術=魔法だろ?
俺って何て頭良いんだあっはっはぁ〜♪
あれだあれ!!不良が気絶した俺等を連れて、
今流行のPCゲームの中にログインさせたんだよ!!
あれは良く出来てるって評判だ!


「いやこっちにはアーダルベルト様がついている。
 アーダルベルト様この村をお守りください。
 この魔族をどうか、神の御力で我々に害の及ばぬよう封じ込めてください。」


ほらやっぱりRPGだ。神の力とかね…普通無いもんそんなの。
それかどっかの宗教?だとしたらキリスト教辺りか…
俺嫌いなんだよね…宗教とかさ…
ってこのアゴ割れマッチョアーダルベルトって言うんだ…うん…確かそんな感じ。


俺がちょっと呑気に村人達の言葉を聞いていると、
その間にどんどん村人達はにじり寄る。
そう、武器とも呼べる農具を構えて…待て待て君達。
俺達はルールを知らないんだ。説明書を読んでないんだ。
だから今攻撃されるとゲームオーバーになっちゃうぜ。


「まぁ、落ち着けよお前ら。こいつ等はまだ何も飲み込めちゃいねぇんだ。
 今のうちに説得すればもしかすると……」


アーダルベルトは途中で言葉を途切れさせ、後ろを振り返った。
俺もそのアーダルベルトの行動に攣られそちらに顔を向けた。
遠くから規則的な音を響かせ、三騎の馬が此方へと向かって来ている。
俺は何故か分からないが、馬に乗る人々の服を見て安堵した。
本当に不思議だけど助かった、そう思ったのだ。


「ユーリ!」


名前を呼ばれたのか、
振り向いたゆーちゃんは何故か空を見て一瞬で固まってしまった。
可愛らしく「……がっ……」なんて言ってる。なんだその言葉は?
上に何かいるのか…何か…


「嘘…ゆーちゃん…骨が飛んでるよ?」

「…骨格標本!?」

「離れろアードルベルト!」


あ、この声…あの人の声だ…懐かしくて、切なくて、そして…


途轍もなく愛おしい。


あぁ…俺は…俺はやっと彼に会えたんだ…今度こそ…幸せに…


「コ…コンラート…」

「ちょっ…オイ!!?」


俺は誰とも分からない名前を呼び、
止めどなく流れてくる涙を拭う事無く放心していた。
あの人こそ俺の夢に出てくる愛しい人で、
名前何て知らなかったのに自然に口から出ていた。
多分コンラートとはあの人の名前なんだろう、
そうでないとこんなにも簡単に口から発せられない。
涙は止めようにも、色んな感情が押し寄せてきて止める事ができなかった。


そんな俺を見てゆーちゃんは焦りに焦っている。
「何泣いてんだよ!」とか凄くアタフタしてくれている。
有利、ありがとう。突然訳わかんないよね。直ぐ泣き止むから。


「有利…あの人だよ…俺の愛しい…」


「ぇ?」


俺はゆーちゃんが安心するようにと、ニッコリと微笑んだ。
後書き

フゥ…やっとコンラッド出てきました。でも話していないですねぇ〜;;
つか…シリアス?の部類に入るのかなこれは?ちょっと切なめに書いてみましたが…
果たしてそうなっているのかも不思議な所でありますね( ´_>`)≡3
次はコンラッドと話させたいです!!!頑張りますねぇ!!

←Back  Next→
素材:10minutes+<