君はここが日本ではない
生まれた世界でないと言われて驚いたけれど
俺はあぁ…やっぱりなって思ったんだ
だって
此処はこんなにも懐かしくて
こんなにも愛おしい
俺も㋮のつく異界人! -05-
俺達が馬を下りてからというもの、
この超美形フォンクライストさんは弾丸の様に話続けている。
良く分からないが、この人はとても有利に会いたかった様で凄く興奮している…。
はっきり言ってウザイ…
有利はケツが痛いのか舌打ちをすると、フォンクライストさんが、
コンラートに向かってギャンギャンと吠えていた。本当に五月蝿い。
まぁそれをサラリと流すコンラートはとても落ち着いて見えて格好いいのだが…。
さっきからその様子をボーっと眺めている俺だが、
本当知らないはずなのに、懐かしい感覚に襲われている。
夢で見たからっていうレベルの問題ではないような、そんな気さえしてきた。
だって、この人たちの会話に出てくる“眞王”とか…
話が分かってしまっているのが恐いぐらい。
有利をアーダルベルトに先こされそうになった事等を説明をするコンラート。
フォンクライストさんは、俺達が鍬や鋤で詰め寄られた事に怒っている様子だ。
だがハッと顔色を変えて不思議な面持ちで有利に質問してきた。
「けれど、陛下……何故お言葉が。」
「やだなぁ、皆さんの日本語はとてもお上手ですよ。な?。」
「あっ…あぁ。」
「通じるかどうか心配するなんて、謙遜するにも程がある。
もう出てくる人、みんなペラペラでびっくりだよ。」
「おい…有利…」
「すげーや、ブラボー、ビバ役者魂。日本にきて何年目?お国はどっち?」
俺が慌てて有利の言葉を静止しようとしたが凄いスピードで喋り終えてしまった。
興奮した人はよく喋る…俺がチラとフォンクライストさんを盗み見ると、
怪訝そうな顔をしていた。
「お国……は、ここですよ。」
「日本生まれ!?」
「陛下、ここは日本じゃないんだ。」
「あ、ほーらね、やっぱ日本生まれじゃないんでしょう?
だったらここは……って、じゃあなんで皆で日本語喋ってるんですか?」
「そうだよ。皆最初から日本語だったって。」
「喋ってないよ。」
あぁ、やっぱり皆可笑しいよ。
だって俺最初から言葉通じてたし…普通に日本語だったよ。
なのにアーダルベルトもコンラートも皆変な事言うよな。
いくら勉強が出来ると噂されても、
英語が日本語に聞こえるなんて馬鹿げた事が起こるわけでもないし、
外国語は外国語に聞こえる。
本当にトイレでの一見の後目が覚めてから、訳が分からないことばかりだ。
矢張り此処は某ゲームの中なんじゃあ…
「ここは日本じゃないんだよ、ユーリ、様。
日本どころか、君達の生まれ育った世界でもない。」
俺はその時やっぱりって思った。此処はゲームの中でも何でもなかったんだ。
唯逃げたかっただけだ。本当は最初から分かっていたのかも知れない。
でも、今コンラートの口から聞いたことではっきりした。
此処は何時も何時も俺が夢を見ていた世界なんだって。
だから皆始めて見るのに分かったり、話しをしている内容さえ分かったんだ。
言葉だって夢に見ているから理解できたのかも知れない。
だって毎日見てるんだから。
それを日本語だと分からないうちに思い込んでいただけなんだ。
じゃあアレは何なんだろう…夢にしては…やたらリアル過ぎる気がする…
俺が考え事をしている間にコンラートと有利の会話が耳に聞こえてきた。
俺は有利のその言葉に驚愕してしまった。
だって…そんなのあり得ないと思ったんだ。
だって…此処は俺が見ていた夢の中の世界だから、
俺しか知らない筈なのに…。
「おれ、あんたとどっかで会ってるかな。」
俺は酷く焦ってコンラートを見た。
コンラートは少し考えてから首を横に振り否定の声を上げた。
その答えにとても安心したのだが、またも俺の気分は下がっていく事になった。
「じゃあ、俺とは会ってる?」
夢での話だから…聞くつもりなんて無かったのに口から自然に言葉が出ていた。
きっとその声はか細くて不安な色を滲ませていたのだろう。
有利が心配そうに見ているから。
でも、コンラートは有利の時とは違い、考える暇も無く返事をしたのだ。
「否、知らない。」
「そ…っか。」
知らなくて当たり前な筈なのに、
心の何処か奥底で何かが潰れてるような気がした。
夢の中では俺は女であって、俺ではない。似ているところだってないのだ。
本当に当たり前なのに…どうしてこんなにも辛くて、切ないのだろうか。
俺はこの世界に来てからというもの何処か可笑しいのだ。
そう思っていると遠くから声が聞こえた。
近くに居る有利の声なのに、何でこんなにも遠いんだろうか?
俺は不思議に思ったが、次の瞬間に意識は無くなっていた。
何がどうなったかなんて俺には分からないけど、
唯力が抜けて地面に倒れていく。
それだけしか覚えていない。
+++++
目が覚めたときには心配そうに顔を覗き込むフォンクライストさんの顔。
そして暖かに、優しく揺らめいている薪ストーブの火が目に入った。
どうやら俺はベッドの上に寝かされている様で、
起きた時にフォンクライストさんは安心しきったような安堵の表情を浮かべた。
周りに有利とコンラートの姿は無い。
「あぁ!気が付かれたのですね!?
何処か異変を感じる場所は御座いませんか!?」
「あ、ハイ。別に何処も異常はありませんよ。」
「良かった!!!倒れられた時はとても心配致しました。
何も無いようで安心しております。」
「スッ…スミマセン。俺にも何が何だか…。」
「謝る必要など御座いません!!
このギュンター、誠心誠意様を看病致します!!」
「あっ…有難う御座います。」
名前はギュンターと言うのか…フム…俺は倒れたのか。
何で倒れたのか良く覚え得ない。コンラートが知らないって言って…
それから…胸が苦しくなって…まぁいいや。多分考えても分からないだろうし。
所で何でギュンターはこんなに詰め寄ってきてるんだろう?
心なしか鼻息荒いし、鼻の下伸びてる気がするし…美しい顔に…
否…鼻に…赤い血の付いた…ティッシュが…ちょっと衝撃的だよ。
というか俺は、このギュンターの事も名前さえ知らなかったが、
何処か記憶に残っていた。だって、懐かしかったし。
この人なら何か分かるかもしれないな。
「あの、フォンクライストさん。」
「是非ギュンターとお呼び下さい。様なんでしょう?」
「あ、えっと…俺、
此処や、皆さんの記憶?があって…懐かしく感じるんですけど…」
「なんと!?それは本当ですか!?」
「ハイ。あと、この世界の夢を毎日の様に見ていたんですよ。」
「あぁ!!
様はきっと此方の世界の方だったのですね!何と素晴らしい。」
あ、そうなんだ。別に違和感感じないや。
寧ろすっきりした感じだ。此処の世界に居たんだ。
なんか嬉しいな。って事はやっぱりあの夢は前世か何かの記憶だったのかな?
テレビでたまに前世の記憶がある人の特集とかやっているけど、
アレ本当だったんだな。信じていなかっただけに吃驚だ。
「あ、じゃあ“フォンラドフォード卿エレナーデ”なんて人居ましたか?」
夢の中のあの女の人の名前。いつもコンラートの隣で嬉しそうに笑っていた…
「え…えぇ、存じておりますが。何故その名前を?」
「いえ、何でもないです。有難う御座います。」
これで確信がついた。
俺は…フォンラドフォード卿エレナーデの生まれ変わりなんだ。
なんだろう?とても嬉しい気がする。そうだと分かれば話は早い。
早く気付いて欲しい。俺の愛しい…コンラートに。
後書き
空野の前世での名前が明らかになったこの話でしたが…うぅん…表現方法が難しい。
空野が何時も見ていた夢は前世の記憶と言う事なんですけど…まぁ色々企んでおります。
BLは一杯葛藤とかがあってくっついていくのが面白いと思っておりますので。
一杯シリアス入れていきたいと思っております。くっついたらラヴラヴに…なる…
かどうかも危ういですね(ヲィ!
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素材:
10minutes+