その温もりに安心した
その笑顔に安心した
その優しい手に安心した
あぁ俺は此処に居ていいんだって
許してくれるんだって
俺はなんて幸せなんだろう
俺も㋮のつく異界人! -15-
俺は重い瞼を持ち上げ意識を覚醒させた。
瞼が重いのは多分俺が泣いた所為だと思う。
涙なんて久々に流した気がするが何故だかすっきりした気分だ。
ふと右手に温もりを感じて重い身体を動かしてみる。
そこには俺の右手を握って眠っているコンラートの姿があった。
その更意を恥ずかしいと感じたが同時に嬉しいとも感じた。
俺を握るコンラートの手は何だか力強かったからかも知れない。
なんだか可笑しくて少し笑ってからコンラートの手を握り返した。
その更意に気づいたのかコンラートは瞼を上げて俺を見た。
その瞳には幾らかの不安の色を宿していたが、
俺が微笑むことによって安心しきった笑顔を浮かべてくれた。
「おはようコンラート。」
「おはよう様。何処か痛むところはないかい?」
「ないよ。助けてくれたんだよね?ありがとう。」
「いいえ、俺は貴方が無事であってくれただけで嬉しい。」
今更になって思う。コンラートを天然のタラシだと。
これが計算でやっているのだとしたら物凄く腹黒なんだろう。
だってこんなにも心臓に悪い笑みを浮かべているんだから。
この笑顔で一体どれ程の人・・・いや・・・魔族?を魅了したのか・・・
そういえばコンラートには取り乱した姿を見られたんだっけ・・・
いや・・・それどころか落ち着かせようとしてくれているコンラートにあんなことを。
よくコンラートの顔を見ればかすり傷があった。
多分混乱した俺が引っかいて作ってしまった傷であろう。
本当に申し訳ないことをした・・・俺は俯いて布団を掴んだ。
「様?どうしたんですか?」
「顔・・・ごめんなさい。」
「顔?」
「傷・・・俺が引っかいちゃったんだよね?」
「あぁ、気にしないで。言ったでしょう?貴方が無事ならいいと。」
「そうだけど・・・でも・・・」
「顔を上げてください様。俺は貴方に笑って欲しい。」
「コンラート・・・」
なんでこの人はこんなにも優しいんだろうか・・・
突然居なくなった俺にこんなにも優しくしてくれて・・・
こんなコンラートだから俺は好きなのかも知れない。
そう。これはエリアーデの想いじゃなくて俺の想いなんだ。
他の誰でもない。おれ自身の。
「ねぇコンラート。有利はどこ?謝らないと・・・」
「有利陛下ですか・・・それが・・・」
「え?何?」
どうしてコンラートは言いよどんでいるのだろうか?
さっきはあぁ言ったけど本当は怒っていて俺の顔なんか見たくないとか?
そうだよな・・・俺急に居なくなったし・・・敵・・・のところに居たわけだし。
仕方ないと言えば仕方のないことだけどやっぱり悲しいもんだよね。
「ずっと様が目覚められるのを待っておられたのですが。」
「ですが?」
「先日の戴冠式の日に地球に帰ってしまわれまして・・・」
「・・・・・・・・・へ?」
えっと・・・どういうことだ?有利は地球に帰った。
俺はまだ此処に居る。確か俺有利と一緒にこっちに来たのに・・・
有利が帰ったのに俺が此処に居るってことは・・・
「俺・・・帰れない?」
「えぇ。残念ながら様は地球には帰れないとの知らせが。」
「そう・・・俺帰れないんだ。」
何故か悲しくはなかった。両親はとても優しかったと思う。
友達と呼べる人は居ないけどそれなりの生活を送っていたとも思う。
でも地球では毎日が同じことのくり返しに感じられた。
だから地球へ帰れないと言われても悲しくないのだと思う。
恋人って呼べる人も居なかったし。
付き合ってると言っても俺は別にそいつのこと好きじゃなかったから。
だって俺がずっと想ってきたのはコンラート唯一人だから。
「分かった。じゃあ有利が帰ってくるときは教えて。」
「分かりました。様―
「あと、様付けないで?さっきみたいに呼び捨てて欲しい。」
「そうします。。」
俺がそういうとコンラートは微笑んだ。駄目だ。
コンラートの笑顔で俺多分死ねちゃうね。というか顔赤いよ。
何でそんなに爽やかな笑顔で笑えるんだか全く。
「ね、さっき何か言いかけてなかった?」
「え?あぁ。此処は俺の部屋じゃないので移動しましょうかと。」
「コンラートの部屋でも俺移動しなきゃだと思うよ?
で、ここは一体誰の部屋なの?」
「ギーゼラといって貴方を治療してくれた人の部屋ですよ。」
「そっか。なんか悪いことしちゃったね。うん。行こうか。」
俺は少し動かしにくい身体を持ち上げてその部屋を後にした。
久々に歩いた血盟城の廊下は静かでとても平和だった。
後書き
うだうだ。何時ものことだけどね。いいじゃん。進まなくても(進めよ
空野が落ち着いたねっていう話。次は進めばいいね。
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