俺が思うに遊びとは楽しむものである。



なのにこの状況はなんなのであろうか?



楽しいかと聞かれれば大層楽しいですけど…



でもコレって遊びとは呼べないような気がする…



誰か俺を助けてくれないだろうか…




















今日は㋮のつく楽しい遊び?




















はぁ〜今日もいい天気!そして平和だ!
と思った俺が馬鹿だったのだろうか…いや違う…
正真正銘コレは眞魔国第27代魔王陛下の養女の所為だ!


先程まで俺はブラブラと何の変哲もない長い廊下を歩いていた筈だ。
そう、太陽の光が気持ち良いな〜なんて語尾に音符とか付きそうな勢いで。
なのに なのに!!神様…いや、魔王様はなんて酷い仕打ちをするんだ!


俺の今の格好を説明するに、丈の短い白いスカートに、
天使のようなキャップ…いわゆる地球でいうナース姿なのだ。


グレタちゃんの頼みというのは他でもなく可愛いものだった。
「グレタごっこ遊びするー!」と元気良く宣言し、皆がそれに賛成した。
魔王、基俺の親友渋谷有利原宿不利なんて、それは嬉しそうに賛成してた。
ごっこの内容をどのような物にするのかワクワクしていたのだが…
「グレタね〜お医者さんごっこがいい!!」と言われた時は衝撃を受けた。


お前はどこぞやのオッサンか!と心の叫びも虚しくソレに決定。
可愛い子供の意見を反対する勇気あるものなど誰一人として居なかった。


まぁ此処までは子供の可愛い戯言と許される範囲であろう。
だが、問題だったのは、それに賛成した大人達の方にあったのだ。
事もあろうか、ややこしい事に、話の最中に毒女と称され、
皆に怖がられているあのアニシナ嬢が現れてしまったのだ。


「ごっこ遊びもなんのその!まるで本物気分を味わえる!
 これを使えば彼方も夢の虜!!名づけて“なりきりく〜ん”!」


そう言って持ち出したのは、訳も分からない変てこな機械だった。
その場に居たグウェンダルなんて、それは恐ろしい物でも見るかのように、
脅え、そして震えていた。まぁ無理もない話しなのだが…
今度は俺達まで、その恐ろしい実験に付き合わされてしまうようだ。
アニシナ嬢は、それはそれは嬉しそうに顔を輝かせていた。
あの実験好きさえ無ければ、唯の可愛らしい女性だというのに…


つくづく眞魔国は変わっていると痛感してしまった。


そして、問題はまだまだ続くのである。
グレタちゃんの「ナースになりたい!」発言である。
もうアレだ…おじさん…いやいや、お兄さん吃驚しちゃったよ。
なんで眞魔国…いや…なんていうか、地球育ちでない彼女が…
“ナース”なんて言葉を知っているのであろうか?
どっかの誰かさんが面白がって教えたに違いない。


俺はそう思い、コンラートの方をチラリと盗み見た。
案の定というか、やっぱりというか、コンラートは俺の方を見て、
あらんばかりの笑顔を浮かべていた。うわぁ…なんか嫌な予感。
グレタちゃんのナース姿は、可愛いに違いないし、見たい思いはいっぱいだ。
だがしかし、優先すべきは自分の身の安全であり、癒しではないのだ。
仕方が無いが、俺は此処で退散させてもらおう!!!

こう考えたのが間違いだったのか…今はもう定かではないのだが…
張り付いた笑顔が素敵なコンラートに俺は難なく捕まってしまった。
何故だ!!何故こいつは俺の考えが読めるんだ!何で先回りしている!
とか色々疑問は絶えないのだが…捕まっちゃったものは仕方が無い。
俺も男だし、ここは潔くあきらめよう。





+++++





まぁこんな感じで、うだうだと誰がどの役に就くかを決めていた。
役割が決まったものは、アニシナ嬢の発明品“なりきりく〜ん”に、
自分がなりたい役柄を言えば、その役職の制服に着替えられた。
服がマジックかのように変わった瞬間は俺も吃驚したが、
これは一種の催眠術のようなもので、俺達が幻覚を見ているんだそうだ。
なんだかよく分からないが、取りあえず魔力の力は凄いと思った。
影で密かに…いや、堂々と頑張ってくれている生贄の二人のお陰か…
っふ…俺あっち側に回らなくて良かった。


と思っている間に、ごっこ遊びに参加するメンバーの衣装が変わっていた。
グレタちゃんは宣言どおりにナース。
ゆーちゃんは可愛い娘に看病してもらいたいのか、患者さんだ。
わがままプーはと言うとこれまたナース姿だ…似合いすぎ…
そして最後にコンラート。こいつは医者の格好をしていて、
なんともエロイ雰囲気を醸し出していた…なんだよこいつ…
無駄に似合いすぎだし…でもこんな医者ありえないかなぁ…
だってエロイしエロイし、エロイんだもん…って…全部エロイだし。


ちなみに、グウェンダル、ギュンギュンは“なりきりく〜ん”の動力源。
アニシナ嬢は子供のような笑みを浮かべながら、傍観しているだけだった。


「んー俺何にしよっかな〜?てかコレだけ揃ってれば俺要らないよ。」

「何を言ってるんだよ!お前も参加しろよなっ。」

「そうだぞ!!抜け駆けは許さないからなっ!!」

「そぉだよ!もグレタと一緒に遊ぶの!」

「うっ…だって悩むんだもんよぉ…しゃーねーじゃん。」


俺がションボリしながら言うと、グレタが足元に近づいてきて、
服の裾をちょいちょいと引っ張った。俺は引っ張られるまましゃがみ、
グレタと俺の目線が合った。グレタは優しく俺の頭をポンポンと叩いた。
慰めてくれているのかな?本当に優しい子だな。


「じゃあグレタ達先に遊んでるから考えててね。」

「うん。分かった。待っててね。」

「うんっ!」


グレタちゃんは元気に返事をすると、パパ二人を連れて、廊下へ駆け出した。
あの姿のままで外に出るとは、なかなかやるな…さて、俺は何に…
って…さっきから物凄い邪気を感じるんでるけど…気のせい?
そうそう。多分気のせいだよ。邪気なんて…出てるのねコンラート…


「で、何コンラート?何で皆と行かないの?」

「何故…と言われてもなぁ…」

「何だよ、その薄気味悪い笑みは…」

「損害だなぁ、別に薄気味悪い笑顔なんて――――

「言葉と顔が矛盾してるよ。」

 そうかい?」


否定しながらも尚気色の悪い笑みを浮かべているコンラート。
こいつ絶対に何か企んでるよ…何かよろしくない事をぉぉっ!!!
被害を被るのは多分俺なんだ。止めてくれよ…今日は平和な日v
今日は何事も無くのほほんと一日が過ぎていく日なのっ!!!
だから俺の平和ライフの邪魔をするなコンラートぉぉぉぉぉっ!!!





+++++





そんなこんな俺はコンラートと同じ服装の、医者という格好になった。
白衣に眼鏡で、患者さんを診察!くぅぅっ!夢だよ夢っ!
って…患者さん有利じゃん!!有利を診察しても別に面白くもないのだが…
まっ、コレでいっか。案外コスプレと言うのも楽しいかも知れない。
と、俺が喜んでいると、コンラートは浮かべていた笑みを消し去り、
真顔でじりじりと俺に近づいてきた。なんか怖っ!
途轍もなく寒っ!何この悪寒は…


には何でも似合うと思うんですがね…」

「なんだよっ。」

「いえ、唯、ナース姿も見てみたいな…と。」

「駄目 駄目 駄目 駄目 駄目 ぜぇ〜〜〜〜ったいに駄目!」

「どうして?きっと似合うのに。」

「どうして?じゃねぇーよ!!俺男だしっ!!」

「ヴォルフも男だ。」

「プーは別っ!プーは男にしとくの勿体ないくらいだしな。」


俺が言うと、コンラートは「ハァ」と業とらしい溜息を付き、
お願いする時とかによく使う目を向けてきた。ヤバイ…
俺この目に見つめられちゃうと逆らえないのに…っく!コンラートめ…
どうやら俺を本気でナースにしたいようだな…俺身長デカイし…
無理だよ無理!絶対に似合わないって!でも…あの目だよ…
可愛いな〜畜生!そんなに言うならお前がナース服着ればいいじゃん…
……………いや、止めておこう。それこそ無理だな。
ヨザックの女装くらいに無理があるかもしれない…いや、それ以上か。


…酷い事考えてないか?」

「えっ!?いや…あぁ〜…そんな事ない…よ?」

「何で疑問系なんだ。」

「さぁ?どうしてでしょう。」


こんな会話をしているうちに俺は壁に追いやられてしまった。
寄って来るもんだから逃げていたら、壁にまで来ていたようだ。
俺にもう逃げ道は残されていないようだ。ついでに希望も。
あぁもう…なんでこんな可愛い目で見てくるんだろうね全く。
本当にこの人大人なのだろうか…なんか仔犬っぽい感じがするけど…
むぅ〜ん…まっ、いっか。似合わないだろうけど、コンラート見たがってるし。
あ、でもソレで似合わなすぎて引かれたらどうしよう!俺死ぬ!


「なっ…なぁコンラート。」

「なんだい?」

「もし俺がナース服似合ってなくても引かない?」

「引かないよ?それにそんな事は絶対にない。
 に似合わないものなんて無いよ。」

「本当に?」

「あぁ。」

「じゃあ………」


近すぎるコンラートの顔に恥らいながら、俺は“なりきりく〜ん”に、
「ナース服」と囁くと、ポンッと白衣からナース服に変わった。
うわっ…スカートだよ、スカート。人生初の体験ですよ…
しかも普通のスカートじゃなくて、白くて短いナースのスカート…
うおっ…足出てるよ足…しかも何でこんなに際どいんだよ!?
アレか?アレなのか?俺のサイズ規定外だったのか?
そんな訳ねぇ〜よな?だって眞魔国身長ビックな人?魔族?
多い訳だしさ…なのに、なんなのこのスカートの短さは?
なんか足スースーするし…うげっ…


「コンラート〜やっぱ俺コレ似合ってなっ―ぅわっ!」


俺が短いスカートを気にしながら、裾をちょいちょい引っ張っていると、
急に体が浮遊感に襲われた。なんだ一体!?何が起こったのさ!?
天井の高さ変わったし…てか景色が一気に変わったしさ…


とビビッていた俺だが、浮遊感の犯人はコンラートであった。
コンラートが急に俺の事を抱え…基お姫様抱っこしていたのである。
なんだよ、恥ずかしいじゃんか。何しちゃってんだよ急に。
まだグウェンダルもギュンギュンもアニシナ嬢も居るのにさぁ〜?
そして顔が何故そんな真剣なんだよコンラート。俺は何処に連れて行かれる?
教えてくれるかな?





+++++





拉致られている最中にコンラートに様々な質問といいますか、
疑問をぶちまけていたのだが、完璧なる無視を決め込まれ、
俺は結局コンラートの自室へと連れてこられてしまった。
何でこんな所に来なければいけないのかが分からない。
第一グレタちゃんが待ってるっていうのに、何故自室?
コンラートは俺とグレタちゃんの会話をちゃんと聞いてなかったのか?


「コンラートどうしたの?ねぇ?聞いてる?」

「……………」


部屋に連れ込まれても尚無視である。そろそろ俺も切れそう。
てか何故部屋に鍵をかけたんだコンラート…お前ナニする気だ…ヲィ…


俺の抵抗も虚しく、力いっぱいベッドに放り投げられ、
次の瞬間には、コンラートの鍛え抜かれた逞しい肉体が覆い被さっていた。
表情は真剣そのもので、切羽詰まっているようにさえ感じられる。
ヤバイ…俺ヤられる…


「コココココッ、コンラート!待て!早まるな!」

「良く似合っていますよ。」

「――っ!!耳元で囁くなっ!」

「可愛いよ、。」


言うとコンラートは俺の首筋を舌を這わせるように舐め、
手をスカートの中へと侵入させた。頼むから止めてくれよ。
俺グレタちゃんと遊ばなきゃいけないの。約束したの。
約束破ったらグレタちゃんに怒られちゃうじゃないか!
この馬鹿コンラート!うっ…でもこんな声で、しかも真剣な顔で、
こんな事されちゃったら俺だって抵抗できないじゃんか。
だって俺コンラート好きだしさ…拒否する理由はないんだけどさ…
でもでもでもでもでも!!!あー!混乱するよ!!


「ぁっ、ちょ、コン―ラ…止めっ…」

「止められません。」

「―っあ!」


うー!コンラートなんかいつもよりエロイよ…白衣の所為かな?
白ってなんか清らかな感じがするんだけど、医者の格好だし…
なんか医者と看護士っていう設定がもう既にエロイし…
うっ、何考えてるんだよ俺…このままじゃ確実に喰われるじゃんよ…
誰でもいいから俺をグレタちゃんの所まで連れてって!!!!


―――ガチャ、バン!!「!!!」


俺の祈りが通じたのか、救いの女神…いや…魔神?なんじゃそれ…
まぁどうでもいいが、救いが現れてくださった。
もう突っ込まない!鍵かけたのに何で開いたの?とか、
俺ちょっとヤバイ格好なんですけど、皆顔赤いんですけどとか、
そんな事もう突っ込まないよ!!!


「あ、グ…グレタ…」

「もう!何で来ないの?待ってるって言ったのに…」

「グレタちゃんごめんね、この変なお医者さんがね?」

「コンラッド!先に始めちゃ駄目でしょ!」

「あ…あぁ、すまない。」

「もぉ!分かればいいの!じゃ始めよっ!」


コンラートは悔しそうに、名残惜しそうに俺の太ももから手を離し、
スカートの中から手を退けた。俺は安堵の溜息を付き、
心の底からグレタちゃんが助けに来てくれた事に感謝した。
ちょっとヤバイシーンをゆーちゃんとプーに見られたけど仕方ないだろう。


にしても本当に良かった。あのままヤってたら、ダルイ腰引きずって、
辛い思いしながら遊ばなきゃいけなかったじゃないか。
本当ソレだけは簡便だ。ゴメンなコンラート。遊び終わったら…
してもいいかな?いつもと違う服装だから恥ずかしいけど、
まぁソレもいいんじゃないかな。


「コンラート。」

「何ですか?」

「後で…ね?」

「………はい。」


コンラートがふんわりと微笑んだので、恥ずかしくて俺も笑った。
遊びは最後まで思いっきり楽しまなくちゃいけないよね?





後書き

皆様壱万打ありがとう御座いました。やっと第一位の作品が書きあがりました。
なんか次男の白衣ってか、まぁそういう変なシチュエーションで書きたくてですね。
ちょっと微エロなんじゃね〜?とか思いつつ…中途半端ですね。それでは。

仔猫が見た夢@刹那夢月 07/04/12