美味しい草食動物の食べ方
今日も今日とて平和な眞魔国。元気にエンギワル鳥が飛んでいる。
俺は青い青い空なんてものをぼんやり眺めながら、
清々しい風を感じながら庭で寝転がっていた。する事がないから仕方ない。
なんせ国王である俺の親友の渋谷有利原宿不利…基渋谷有利は、
永世平和主義なんてものを唱えていて、戦争なんて一切しない。
そのお陰で眞魔国はいつも平和なのである。
平和なのはいい事なのだが、兵士である俺は暇でしょうがない。
やる事がないのだ。やる事といえば、屋根の修理だとかそんなので、
城下町に出ても犯罪なんてものはあまり起こらないから意味がない。
読む本もなくなってしまったし…
「あー暇暇暇!!!なんか面白い事ねぇーかなぁ〜」
「おや?そんなに暇なら俺の相手をしてくれないかな?」
独り言で終わるはずだった言葉に返事が返ってきた。
相手は前魔王陛下の息子様ウェラー卿コンラートだ。ちなみに俺の彼氏。
格好いいんだけど…性格が…ちょっと…いや…かなり?
うん、かなり黒い男だ。結構いい趣味してるかなって思う事も多々。
「侵害ですね、俺は爽やかな好青年で通っているのですが…」
「え?何、お前心読まないでくれる?それに自分で言うなよ。」
「いえ、の表情はよみやすいですからね。」
「…ふーん。」
にこにこと気持ちの悪い顔で笑いながら近づいてくる。
爽やか青年とか自分で言っておきながら、オーラが黒い。
近づくにつれて俺の顔が引きつる。待て!来るなよ…お前その顔…
ぜってーよろしくない事考えてるだろ…分かる。俺には分かるぞ!
よし、逃げよう。
「逃げられると思っているんですか?」
「ギャー!!だから…だから俺の心よまないで下さいますかっ!?」
「よんでません。」
「嘘だぁー!お前そんなスキルどこで手に入れたんだよー!!!!」
逃げようとしたけど失敗しました。えぇ、手をがっちり掴まれちゃいましたよ。
そして押し倒されちゃいましたよ。また青い空と今度はコンラートの笑顔。
あぁ、黒い。黒いよコンラートさん。こんなとこでまさかね。
そんな事ないよね…いくらオーラが黒いからってまさかまさか…ハハハ。
「おや?そんなにナニかしたいんですか?」
「イエソンナコトゴザイマセン」
「何故カタコト?」
「ぎゃー!!したくないって!!なんで手を…ちょ、コン!!」
ひぃ!!したくないって言ってるのに、コンラートの手は…手は/////
嬉しそうに黒いオーラ発しながら俺の服を捲り上げてゴモゴモ…///
頑張って抵抗するも、この逞しい身体には勝てない訳で、
しかも手を頭の上で押さえつけられてるもんで、力が入りにくい。
どうしよどうしよ!!本当に外で!しかも誰が来るか分からない庭で!!
ナニかしたいなんて思わないよぉ!!
「コンラートちょ…マジ勘弁って…ぁっ」
「暇と仰っていたではありませんか?それにそんな顔で言われても説得力が…」
「んぅ…だって、こんな…誰が来るか…分からないのに…」
「誰も気やしませんよ。」
「そんな…」
まずい。本気でやめる気ないよこの人。こんな所で嫌だ!い…
いつもより恥ずかしい…なんか変だ…どうしよ…誰か助けて!!!
+++++
「なぁーヴォルフ、知らね?」
「か?確か中庭で寝そべっていたと思うが。」
「そっか、ありがとなっ!!」
「あ!オイ、ユーリ!!今行かない方が!!」
「何だってーーーー???」
有利はヴォルフの言葉を聞かないうちに、走り去ってしまった。
用事があるのだろう、凄まじい速さで、次には姿が見えなくなってしまった。
ヴォルフはというと引きとめようとして上げられた腕を下ろすこともなく、
「行ってしまった」と呆けながら呟いた。
ヴォルフは見てしまったのだ。
嬉しそうに近づいていく黒いオーラのコンラートの姿を。
あの顔はナニか企んでるな…と被害が及ばないうちに早々と逃げたのだ。
そんな事を知らない有利は、お目当てのを目指して走るのであった。
+++++
俺の必死の心の叫びも虚しく、どんどん先に進んで行ってしまうコンラートさん。
ここまで来てしまうと抵抗するのも段々と疲れてきてしまって、
どうでもいいかな…なんて考えまで浮かんできてしまう。
いや!ここで諦めてしまったら、俺の今までの頑張りが無駄になってしまう!
それだけは嫌だ!!!でも誰か来ないと逃げ出せるはずもないし…
うっ…でもこの状況を誰かに見られるのも嫌だし…
どうすりゃいいんだよぉ!!!
「そろそろ観念したらどうですか?」
「はっ…ぁっ、いや…だ!!」
「元気がいいですね。」
「ぁっ!!はぁん、んっ…」
ひぃっ、もっ…無理。理性が持ちません。
ん?ちょ…待てよ…なんか足音が近づいてくるんですけど。
しかも物凄く早いスピードでこっちに向かってくるような…
え、って…この足音は…ゆーちゃんだ!!ヤバイ ヤバイ ヤバイ!!!!
「ココココココンラート!!ちょ、マジやめ!!」
「おや?どうしたのですか?そんなに慌てて。」
「ぁっ…放せって言ってるだろっ!!!」
「おーい、〜!!」
「ヒィッ!ユユユ有利!!コッチ来るなぁ!!!」
「えっ?」
あぁ!!見られた…確実見られた。俺今…服…殆ど着てないな。
咄嗟に落ちてる(脱がされた)服を掴んで隠したけど遅かったな。
うん。ハハ
「あ、えっと///…じゃ!」
「あぁ!有利ぃぃぃっ!」
ゆーちゃんは俺の姿を確認すると、顔を耳まで真っ赤に染め上げ、
口をパクパクとさせ、来た時よりも、もっと早いスピードで駆けて行った。
純粋な有利の事だ。次会った時は避けられるか、目を合わせてくれないだろう。
うっ…俺の唯一の癒しがぁ。
これも全部…全部コンラートの所為なんだ!それしかない!
「うっ…」
「えっと…?」
「コンラートなんて…」
「え?」
「コンラートなんて大っ嫌いだぁぁぁァァアアア!!」
バキッと気味がいいまでの音がしたパンチをコンラートの頬に繰り出し、
素早く服を身に纏い、その場を去った。振り返る事なんてしなかった。
どんな顔してようがコンラートが悪いんだからなっ!!
後に残されたコンラートはと言うと、放心しながら頬を押さえていた。
暫くすると自分の世界から帰ってきたようで、慌てての後を追った。
この後コンラートが許してもらえたのは数週間後だったとか。
動物の王と呼ばれている獅子も、可愛い仔兎相手には適わなかったようだ。
美味しく草食動物をいただくには、マナーが必要のようだ。