恋焦がれ-2-
目覚めればそこには見慣れない天井が広がっていた。
キョロキョロと目線だけを動かした見たけど天井しかない。
あれ?確か私、偉大なる航路を彷徨っていて海賊船の上で気絶したような。
看板目がけて真っ逆さまだった記憶があるんだけど生きている。
首を動かしてみると、自分の腕から伸びる管。
どうやら良い海賊船に拾われたようだ。神様本当にありがとう。
「お、目覚めたようだな」
「ふへっ!?」
視線を声のする方へと移動させてみる。するとそこには白衣の男。
なんとも癖の有りそうな顔をしているが、人は良さそうだ。
船医なんだから優しくないと困る!だって痛いの嫌いだもんね!
きっと百面相を繰り広げる私を見てアホだと思っているに違いない。
にしてもここはどこの海賊団の船なのであろう?
医務室があり、そして何より広い。ということは名のある海賊に違いない。
一人で悩んでいても仕方あるまい、目の前の船医にでも訪ねてみるか。
「あのぉ・・・お世話になりました。で、ここはどこの海賊の船でしょうか?」
「ここは―
「なんだ、目が覚めたのかよい」
マルコっ!俺の話を遮るんじゃねぇ!」
船医さんが私の質問に答えようと口を開いた丁度その時、
なんとも眠そうで変質的な髪型をしたゴツイお兄さんが現れた。
人の話は最後まで聞きなさいってお母さんに教わりませんでした?
ん?そういえば船医さん確か・・・
「ま・・・るこ?ほへ・・・不死鳥の?」
「なんだ知ってるのかい?」
「知ってるも何も手配書がアチラコチラに・・・え?
不死鳥のマルコが居るという事はもしかしなくても・・・」
「「白ひげ海賊団だよい(な)」」
「ええええええええええええええええ!?」
名のある海賊に拾われたと思ったが・・・些か大きすぎやしないだろうか?
しかも良い海賊だと思っていたのに、神様あんまりです。
一番厄介な海賊に拾われたのではないだろうか?嫌な噂は聞かない。
だがしかし、三皇に名を連ねる白ひげの乗る船だ。油断は出来まい。
何より厄介なのは鉄の掟だ・・・決してこの船に乗る一員を傷つけてはならない。
気を付けなければ・・・にしても私はこれからどうなるのであろうか?
困った・・・厄介だ・・・
「おいっ・・・おいっ・・・聞いているのかい!」
「はいっ!聞いてませんっ・・・はっ・・・あ・・・」
しまった、考え事をしていたせいで不死鳥マルコの話を聞いていなかった。
そして命知らずにも程がある、話を聞いていないなどと馬鹿正直に答えてしまった。
やはり私は運が悪かったようだ・・・お父さん、お母さん・・・
私はあなたより先に旅立ってしまうようです・・・どうかお許しを。
「はぁ、こいつ聞いちゃいねぇ」
「む、なんでしょうか?いきなりレディの体に触れるとは・・・あっ・・・」
「いきなりじゃねぇよい、親父の許に案内するって言ったろい」
「そそそ・・・そうでしたか、すみません又も考え事を」
私が謝ると溜息を吹き出した不死鳥マルコは、私の手を握りベッドから引き摺り降ろした。
そういえば管がついていたのではと焦ったが、いつの間にやら点滴の針は抜かれていたようだ。
気付かないって私どれだけ考え事に没頭してたのだ。そりゃ不死鳥マルコも呆れる筈だ。
しかし、返事がないからと私を急に引っ張る不死鳥マルコも酷いものだ。怪我をしたらどうする?
さっきから私は不死鳥マルコに命知らずな言動を吐き出しているが致し方ない。
カチンと来た物は来たんだ、仕方ないんだ。ここはガツンと一発だな・・・
「おいコラさっきからレディに何をするん・・・あれ?」
世界が急に真っ白に・・・眼の前がキラキラしている。力が入らない。
「あっ・・・」
「っ!?」
衝撃に備えて目を瞑ってみたものの、なかなか予期した衝撃は訪れなかった。
恐る恐る目を開けた私だが、映るのは床と己の脚。どうやら転ばなかったようだ。
でも何故・・・目線を上げると次は私の腕ともう一人の誰かの腕・・・誰の?
逞しい女性の腕とは違うそれ、私を支える力強い・・・え?
「大丈夫かよい?」
「だい・・・じょぶ。あの、ありがとうございます」
「離すよい」
「あっ・・・はい」
ビックリした。何故不死鳥マルコは私を助けたんだ?分からない。たまたまだよな。
でなければ、目の前で転けられるのは流石に男として見過ごせなかったのか。
そういうことにしておこう。なんだ不死鳥マルコ、見た目より良い奴なのかも知れないな。
私はまたも思考の海に沈み、握られた右手に気づくことなく、医務室を後にした。
痛いほどの興味心という視線を浴びている事にも気づかず、呑気に船長室へと歩んだ。
後書き
口調が定まっていない。一人称で書き始めたのが間違いだったかしら?
長いこと掛かってしまいましたが漸く2話です。
マルコに抱きとめられたら失神してしまいますねっ!!
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素材:
戦場に猫