今宵も私は、ソコへと向かう。


- 信号から三つ目の角を曲がり、そのまま真っ直ぐ進む… -


多分、これからも私は、ずっと通い続けると思う。


- 暫く行くと、空き地がある。そこに1本だけある木の下に… -


彼に、逢う為に…


- ソコに繋がる、赤い魔方陣が輝いている -


















- Fiest Kiss -




















「あ、ちゃん!いらっしゃい〜!!」


明るく私を迎えてくれたのは、クルアル君ことアル君だった。
確か…、昨日はシェイド君がお迎えしてくれたんだっけ?


「今日も来てくれたんだね!?僕、ずっと楽しみにしてたんだ〜!」

「私も。今は、此処に来るのが私の毎日の楽しみになってるからね。」

「本当に、毎日毎日来てくれてありがとうね!」


毎日のように私が此処、Hell Heavenに通っているのは本当の話。
…いや、別に凄く暇だから来ているって訳じゃないのよ?
わざわざ夜は時間作って、親にバレないようにこっそりと出てくるんだから。


「あれー?もうさんが来る時間ですかぁー…。今日もいらっしゃいませですー。」

「メアちゃん、こんばんわ。早速だけど、指名ってできるかな?」

「大丈夫ですよー。ジンだけは少し待ってもらわないといけないですけどー。」

「そ、そっか…。それじゃあ、ジンの指名が空くまで、シェイド君お願いできるかな?」

「解ったですー。じゃあ、シェイド呼んで来ますねー?」


…私が何故、毎日のように此処へ来ているか。
ホスト通いの女と一緒、お目当てのヒトが居るから。

一目惚れ、っていうのかな。
初めて此処に来たとき、指名が来てなかった彼と話して、とても楽しかった。
格好良いし、話は面白いし…。本当に、すぐに好きになっちゃった。

でもね、彼は私のコトなんて、ただのお客さんとしか見ていないの。
指名しても他の客と同じ扱いだし、恋愛の話に振ればすぐに視線反らすし。
…ちょっと、冷たいような気がする。

仕方無いよね。此処はそういう場所だし、私だけが彼を好きって訳じゃ無い。
一般人な私に、彼が振り向いてくれるなんて、思えない…。


「お待たせしました…って、さんでしたか。今日もありがとうございます。」

「ううん、此処に来ると楽しいから、良いのよ。」


そう言えば、シェイド君は紳士的に私を席までエスコートしてくれた。
椅子に座らせてもらえば、テーブルの上のハーブティの香りがしてきた。
シェイド君は自分が椅子に座る前に、私の前にあるティーカップに
そのハーブティを注いでくれた。


「どうもありがとう。良い香りね、何のハーブティ?」

「レモンバームですよ。この楽園で採れたのを使ってみたんです。」

「へぇ〜。じゃあ、いただきます。」


美味しいハーブティを飲みながら、私とシェイド君は、他愛の無い話を続けていた。










暫くして、シェイド君が言った。


「…そう言えば、恋愛の方は如何ですか、さん。」

「えっと、私は、その…恋愛なんて……」

「可愛らしいですね、さんは。でも、気付いていないのはジンだけですよ。」

「え、えぇ!?どうして?何で皆知ってるの!!?」


シェイド君曰く、かなり顔に出ていてバレバレだったらしい。
嗚呼、隠し通してきたつもりが、最初からバレちゃってるなんて。

……かなり恥ずかしいんですけど。


「ジンはかなり鈍い奴ですから、
 きっとさんがジンのコトが好きなコトに気がついてません。」

「そ、そうかな?…良かった〜……。」

「本当に良かったんですか?」

「……良く無い、かも。」

「ですよね。それじゃあ、そろそろ気付かせてあげても良いんじゃないですか…?」


見た目は私より子供なシェイド君。(中身はすっごい歳らしいけど)
本当に大人なんだなぁ〜…って思った。

そうだよね。
いつまでも隠していられないよ、こんな気持ち。
嬉しいけれど、苦しくて。ジンを思う夜は胸が張り裂けそうになって…。
大好き。って一言、言えれば良いのに……。

でも、それで私とジンの今の関係が崩れたら?
お客さんとしか見てくれて無いけど、これでその関係すら崩れてしまったら?
そうしたら私、ジンとどう接して良いか解らなくなっちゃうよ。

不安だよ…。


「シェイド君。ジンは私を…受け入れてくれる、かな?」

「…それは僕には解りません。でも、大丈夫。
 さんの想いは、絶対にジンに届きますから。」

「……うん。ありがとう、シェイド君。」


弱気になっても意味は無いから、辞めておこう。
好きな気持ちはどうやったって押さえきれるモノじゃ無いんだもの。
頑張って、勇気を出して言えば、私の想いだって伝わる。

例え、それが実るコトの無い種だとしても…。


「お待たせしました!ちゃん、ジン空いたよ〜!!」

「解った。今行くわ。今日はありがとう、シェイド君。」

「いえ、さんの恋が実るよう、祈っています。」










アル君にジンのトコロまでエスコートしてもらった。
ジンはグラスに入っている赤い飲み物を飲みながら、私が来るのを待っていた。


「よぉ、。悪ぃな、前の客が長引いちまってよ。」

「ううん、全然大丈夫。私は…ジンに逢えればそれで良いから。」

「……そっか。」


あ、目を逸らされた。
やっぱり、私ってお客さんの中でも嫌われている方、なのかな?
だって、他のお客さんのときに目を離したコトなんて1度も無いのに。

…駄目駄目、弱気になったらおしまいだわ。


「そうそう!あのね、私、ジンに大切な話があるんだけど…。」

「な、何だよ。いきなり改まっちまって…。それより、何か飲むか?」

「飲み物はどうでも良いの!!今は、私の話を訊いて……。」


弱気になっちゃ駄目だ、と思ってたら、何だか凄く強気な言葉を吐いちゃった。
その所為か、ジンもかなり吃驚しているようだった。
視線を逸らしていたジンが、私の方へと視線を戻す。

…ヤバイ。見られるととてつもなく恥ずかしくなってきた。

此処で逃げてしまったら、もうきっと、このまま何も言えないで終わっちゃう気がする。
言わなきゃ駄目。今の私は最強なの。シェイド君にも言われたじゃない。

-さんの想いは、絶対にジンに届きますから。-  って!!


「…私は、アナタのコトが……好きです…。」


きっと私の顔は林檎のように赤く染まっていると思う。
恥ずかしさは頂点に辿り着き、私はジンに背中を向けてしまう。

暫くしてから、そっとジンを見る。
ジンもいつもみたいに視線を逸らしているのかと思ってた。
……ジンは何も言わず、真剣そうな瞳で私の背中を見つめていた。

それを感じると、余計に恥ずかしくなってくる。


「あの、ね…。今のは冗談じゃないから。でも、嫌なら嫌って言ってね?」

「………………。」

「別に、私はこの想いをジンに伝えたかっただけだから。付き合って欲しいとかじゃ…」


そこまで言うと、背中に温かいモノを感じた。
……ジンだった。
ジンが、私のコトを背中からぎゅっと抱きしめてくれている。


「俺も、が好き、だった…。」

「えぇ!?で、でも…ジンはいつも目を逸らしちゃうじゃない…。」

を見るだけで愛しいって想いが止まらなくて、
 お前にバレないよう、視線逸らしたんだ。」

「嘘。私…ジンに嫌われてるのかと思ってた……。」


それから、今までのコトについて色々と話していた。
恋愛の話をしなかったのは、思わず私の名前を出さないようにする為。
ジンは、とても照れ屋さんだってコトが解った。

冷たいんじゃなくって、それがアナタの優しさ、なんだね…。


「ジン、大好き。」

「俺も愛してるぜ、…。」


シェイド君達がこっそりと見守っていたのに気付きもせず、
私とジンは、最初の口付けを交わすのだった。





アトガキ

【刹那に散る詩】の1周年記念に書かせていただきました。
いやー、ヘボヘボなモノになっちゃって申し訳無いッス;

夢月ちゃんのリクエストでは、最初冷たく、最後甘〜くがご希望だったそうですが、
自分には無理だったっぽいです。本当にすいません…orz
こんなモノでよろしければ、貰ってやってくださいませv



林檎ちゃんへ

…ッ…母さん!!鼻!鼻から何か出てきたよ!!ティッシュ!!!
といった勢いなんですが…フオーッ!!なんじゃこの甘い物は!!
ジジ…ジンクスが…チュ…うひゃお(落ち着けよ…
楽園の皆から愛されてる感たっぷりで物凄く感動してしまった訳ですが…
こんな素敵な物を頂いてしまってよかったのでしょうか???
林檎ちゃん!!超素敵夢有難う御座いましたvv喜んでお受け取りしますv